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ギャラリーハウス 
        2022

所在地 : 東京都台東区

用途 : 住宅(リノベーション)

改修前用途 : 民泊、住宅

竣工 : 2022年10月

規模 : 108.64㎡

構造 : 鉄骨造

階数 : 地上3~4階

施工 : 住環境建設(株)

​撮影 :  Forward Stroke Inc.

掲載 :  住宅設計.jp       LINK

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    建築ジャーナル24年10月号

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​改修前

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​改修前

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​改修前

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​改修前

​改修前

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​改修前

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​改修前

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​リビングアクセス形式

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​一般的な住宅プラン

​キッチンと洗面台は既製品

​『ギャラリーのような家』

 

 都市の中にある築41年の鉄骨造メゾネット住戸のリノベーションである。1~2Fは貸事務所、3~4Fが対象住戸であり、改修前は3Fを民泊施設として活用していたが、住まい手が変わり、新たに夫婦と子供2人の家族向けのプランへと改修した。改修前は民泊用と住戸用の2か所の入口があったが、玄関は1か所のみとし、3Fは壁を取り払い、鉄骨造の特徴を生かした開放的なリビングアクセス形式の住戸プランとした。玄関の仕切りがない代わりにハイカウンターを置き、キッチンとの間の緩衝スペースとした。

 

 日本でよく見かける住宅プランでは玄関廊下と居室が区画され、家に帰って来ても家族が顔を合わせずに寝室に直行できるプランになっていることが多い。個人のプライバシーは確保されるが、お互いに何をやっているのか、元気なのかよく分からないといったことも起こりうる。それに対して今回の計画は玄関廊下のないプランのため、家族や来客は必ず3Fの大部屋を通ることになり、お互いの顔が良く見える風通しの良い平面計画となっている。

 

 3Fの大部屋はこの家を訪れる全ての人の目に付くパブリックな場所であるため、収納を充実させてモノを片付けられるとともに、家族の個性が見えるようにモノを飾ることができる、ギャラリーのような空間が良いのではないかと考えた。例えば鉄骨造の大空間の倉庫を白く仕上げてギャラリーにコンバージョンするようなイメージで、白地をつくり、オブジェを置くように黒い什器を配置していく。黒い什器は収納であるが、展示台でもあり、季節や時代に応じて好きなモノを飾ることができる。また、白黒のカラースキームは施主要望でもある。

 

 ギャラリー空間にはソファは置かず、黒い畳スペースを計画した。約1.3m×4.1mの畳スペースはソファ代わりの腰掛けとなり、デイベッドとなり、来客の宿泊場所にもなり、様々な使い方、人の集まり方を許容する居場所となる。もちろん畳の下は引出付きの収納になっている。黒い什器は製作家具としたが、それに合わせてキッチンや洗面台も黒色の既製品を選定した。モノクロの空間は、食器やフロアランプ、グリーンやファブリックなど、置かれるモノを美しく引き立てる良い背景となる。

 

 大部屋の3Fに対して4Fは寝室フロアである。改修前にキッチンとダイニングであった場所は主寝室に変更した。4Fのホールは通り抜けるだけの廊下よりも広めに計画し、セミパブリックな家族の居場所を作ることで、ここでも家族が顔を合わせて会話が生まれることを意図している。実際、子供がゲームをするスペースとして活用し、子供が個室にこもりっきりにならない計画となっている。なお、3、4Fともに東側の掃き出し窓を交換し、改修前に欄間と横桟付きのシングルガラスであったサッシをフルハイトのペアガラスに変更し、デザインと断熱性能を改善した。

 このように、玄関廊下から家族が顔を合わせずに個室に直行できるプランではなく、ギャラリーのようなリビングアクセスのプランとし、4Fホールも単なる廊下にならない居場所のある空間とした。日々、大量のモノや情報を整理するのに忙しい現代の都市生活者においては、人との交流や自分の居場所は積極的に作らないと得難いものになってきている。家族や来客とのちょっとしたコミュニケーションを生み、小さな居場所を作るこの形は、都市生活者が安心して快適に暮らす一つの形式と言えるのではないだろうか。

AFTER

3F PLAN

4F PLAN

BEFORE

3F PLAN(民泊階)

4F PLAN(住宅階)

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