PROPOSAL | かさねの家
2021
所在地 : 東京都
用途 : 戸建住宅
提案 : 2021年
敷地面積 : 75.45㎡
延床面積 : 100.21㎡
構造 : 木造
階数 : 地上2階
『領域を重ねる家』
住宅設計コンペの提案です。家は家族が集まる場所でありながら、個人がそれぞれの時間を過ごす場所でもあります。かさねの家は、暮らす人それぞれの小さな居場所を吹抜けの周りに階段状に積み上げる事で、互いの活動領域を重ね合い、様々な集まり方を許容する、おおらかな空間を作り出します。親戚や友人と集う場所、子供だけで遊ぶ場所、夫婦だけで過ごす場所、仕事や勉強をする場所。一つの空間の中でも、様々な集まり方や離れ方を実現できる、戸建住宅の提案です。
都市の中には様々な個人の居場所があります。個人の居場所にいながらも一人ぼっちではない環境が都市であり、そんな大らかな環境は、居心地の良い住宅に繋がるのではないかと考えます。家族という単位を個人まで分解し、それぞれの小さな居場所を積み重ねて一つの住宅を作ります。
外周に寛ぐ場所、内側に動線、スキップフロアで繋がる空間、変化する床レベルと天井高さ、ルーフテラスに通じるはしご、様々な使い方を許容する空間が実現されます。例えばSOHO利用する場合、スキップフロアによってパブリックと執務ゾーンを緩やかに分け、2Fベッドスペースはデスクや倉庫にもでき、ルーフテラスでリフレッシュできます。また、執筆家や受験生など、静かな環境が必要な場合、カーテンを引戸にしておくことで、引戸によりリラックスゾーンと集中ゾーンを分けることができます。
外部は近隣関係に配慮し、角地に向けて空地とピロティを設けることで井戸端会議の出来る溜まり空間とし、ピロティは家と街の間のバッファーゾーンを形成します。外観は、斜線制限に対して勾配屋根を設けるのでなく、小さな箱を積み重ねることで街角のアイキャッチとなります。窓は地上からの高さがそれぞれ異なるため、街との間に様々な関係を生み出します。
<構造計画>
原則、柱は通し柱、スキップフロアは二段梁を構造用合板で接合することで必要な床剛性を確保します。耐力壁を外周部にバランス良く配置することで吹抜け周りを開放的な空間とし、ピロティには構造上必要な箇所に筋交いを設け外観のアクセントとします。吹抜け周りにも筋交いを設置することで、耐震性を高めます。
<環境設備計画>
南東に向けた窓とスキップフロアと吹抜けの空間構成により、効率的な自然採光と自然換気を行います。また、吹抜け上部の窓による煙突効果で重力換気を促します。冬場はリビングを中心に暖房し、上昇気流によって効率良く居住域を温めます。屋根にはルーフテラスからアクセスし易く、太陽光パネルの設置も容易にできます。