Kitchen M
2021
所在地 : 東京都台東区
用途 : 戸建住宅(リノベーション)
製作 : Basis
撮影 : 森政俊
アイランドキッチン。ダイニング側腰壁はセラミックストーン貼り。
アイランド側には食洗器と炊飯器置場。ガスコンロにはグリル、オーブン付き。
元々の配管を活用して水廻りの位置を調整。広くて優雅なキッチンを実現。
カップボード。右端は引き出しで、カトラリー類を入れる。
アイランドキッチンはLDK全体の主役となる象徴的なデザインとした。
アイランドキッチン詳細。
窓の中心線に合わせてアイランドキッチン、照明、床タイル目地を揃えた。
『機能を超えたキッチン』
「House M」のためにキッチンを設計した。改修前のプランは2Fのリビングとダイニングの間にキッチンを置き、空間を分割する形式をとっていた。今回の改修では一体的なLDK空間を目指してキッチンの配置を検討した。仮に元々あった給排水管の位置を動かすと、下階の天井が下がったり、キッチンの床が上がったりと、空間に与えるダメージが大きいため、元の給排水管の位置は動かさない案を考えた。そうすると必然的にシンクの位置はLDKの中央に必要になるが、この制約を逆手に取って、空間の主役となるアイランドキッチンを設計した。
コンロについてはアイランドキッチンに組み込むと、冷蔵庫方面への動線が遠回りになったり、レンジフードや排気ダクトで天井が下がったりと上手くいかない。そのため、コンロは耐力壁に囲まれた奥の方へ設置して、外部へ最短距離で排気できる計画とした。こうする事で、下り天井も上がり床もなく、空間の輪郭を美しく保ったLDKになると同時に、広くて優雅なキッチンを実現することができた。
ところで、キッチンで料理をするという機能だけを考えると、ここまで広いスペースは必要としない。むしろ、もっとコンパクトなキッチンを求める人もいるだろう。しかしながら広いキッチンは家族や友人と賑やかに料理を楽しむことができるし、時には料理人を呼んだり、料理教室を開くことだってできるし、椅子を持ちこめばカップボードで仕事や勉強をすることもできるため、料理をするという機能だけではない場所になる。このように、リノベーション特有の制約をポジティブに捉えることで、機能面だけではなく、見た目に優雅で、料理以外の居場所にもなる、機能を超えたキッチンを実現した。
BEFORE - 2F PLAN
AFTER - 2F PLAN
15. 廊下
16. LDK
17. キッチン
18. 洗濯機
19. トイレ
20. バルコニー
※壁ハッチ部:耐力壁